応募総数1,742作品(クリエイティブ部門1,650作品・プロダクト部門92作品)の中から、ネット投票・TLF審査員会による厳正な審査を経て、革コン2025の受賞作品が決定いたしました。ご応募いただいた全ての方、投票に参加いただいた皆様、ありがとうございました!
クリエイティブ部門
入賞
-
「cobbler vase」
浅野皓貴様
作品の主旨
「革」が「化ける」と書いて靴と読むように、平面から見事な立体形状へと変わる革靴は、靴でありながら工芸品のような美しさがあります。 cobbler vaseは、そんな革靴に魅せられデザインした、一枚の革から作られる革の花瓶です。素材にはコードバンを想定。陶器にも通ずる艶やかで光沢のある一面を持ちながら、温かみや手触りといった革ならではの質感が、これまでにないプロダクトを生み出します。
-
「革鶴」
漆原幹人様
作品の主旨
かつて紙に託した祈りの形を、いま革に折る。 日本の折り紙文化の象徴「折り鶴」を、1枚の革から立体的に再構築したバッグです。縫製ではなく「折り」を主軸にした構造美が、見る人に緊張感と詩情を与えます。 正方形の革に最小限の切り込みと縫いを施し、構造はあくまで折りによって形づくられる。 くちばし、羽、胴体...それぞれがバッグとしての機能と装飾を兼ね備えています。 戦後日本が「平和の象徴」として世界に発信してきた「鶴」というモチーフに、現代的な再解釈とクラフトマンシップを融合。持つ人の祈りや想いを包む、機能性と精神性を併せ持つ一点です。
-
「ランプシェード」
佐藤結香様
作品の主旨
家の間接照明は、家に温かさを与えてくれる存在なので、その温かさや、落ち着く雰囲気をさらに演出してくれるようなランプシェードを考えました。
-
「ジビエダルマ」
下吹越直紀様
作品の主旨
駆除された命に再び命を吹き込み、獣害問題が解決するまで何度でも立ち上がるという決意を込め、ジビエレザーでつくられたダルマのプロダクトをデザインしました。今日、日本ではシカやイノシシなどによる農作物被害が年間164億円(2023年度)に達し、耕作放棄地の拡大や生態系の崩壊が進行しています。それにもかかわらず、駆除された命の利活用率は1%未満。多くは未利用のまま焼却処分されています。そもそも「害獣」という呼び名は、人の都合による一面的な分類にすぎません。腐敗と発酵の違いが人の解釈によって成り立つように、彼らの価値もまた文脈に応じて変化します。市場にきちんと出口をつくり利活用率を上げることで、川上の捕獲現場から、川中のなめし職人、川下のクラフトマンまで、革産業や地域、森に還元される循環の流れを創ります。さらに、紅花染・藍染・墨染などの伝統染織を取り入れることで、担い手不足や素材需要の低下といった課題にも応答し、受け継がれてきた技にも、再びまなざしを向ける契機をつくります。
-
「レザータウン」
坪井のあ様
作品の主旨
子どもと大人が一緒に楽しめる「まちづくり」をテーマにした、着脱式のレザーパズルマット。カラフルな革のパーツをボタンで自由に付け替え、オリジナルの街がつくれる。遊びながら創造性と指先の感覚を育て、素材の温かみや経年変化も楽しめる“育てるインテリア雑貨”。
-
「鼻」
出倉海都様
作品の主旨
ありそうでなかった鼻の形のメガネスタンドをデザインしました。 機能性と見た目の楽しさを両立し表現しています。
-
「PATCHED」
中田麻彩様
作品の主旨
本作品は、破れや傷のある革の端材を組み合わせ、編み込んで構成した帽子です。不揃いな質感や色ムラを意図的に活かし、それぞれの革の痕跡や個性が交差することで、偶発的な美しさを生み出しています。実際に着用可能な構造と軽量性を両立させるため、編み目や素材の配置を工夫し、サステナブルと機能性の両面を追求しました。 「PATCHED」は、修復や再構築を意味し、破れや欠けをあえて見せる価値と、異なる要素を編み合わせる過程そのものを象徴しています。
-
「革髪ーKAWAGAMIー」
野田侑子様
作品の主旨
コンセプト「革製品・ウィッグの常識を覆す」 この作品「革髪」は、「髪=毛」という概念を超え、頭部を守り、飾り、個性を引き出す、革新的なヘッドピースです。 美しさと強さ、機能と感性の融合により、“革”に新しい価値を生み出します。 素材には柔らかく加工性に富んだ本革を用い、ウィッグのように頭部に被せて使うデザインです。毛先には従来の人工毛を活用します。表面には革特有の風合いを活かしたカービングや型押し模様を施し、装飾性と機能性を両立。
ユース・クリエーターズ賞 (高校生以下が対象)
-
「革音」
梶川鼓未様
作品の主旨
革の温もりと、澄んだ鈴の音を組み合わせた「革音(かわね)」は、見た目だけでなく”しっかりと美しい音が鳴る”ことを目指した革製の鈴です。 内部構造には、薄い真鍮を使用することで音の響きを確保し、外装には牛革を用いて、革ならではの質感や経年変化を楽しめるようにしています。また、鈴の中の玉には漆加工を施した硬質な革を使うことで、軽さを保ちながらも、しっかりとした澄んだ音色を実現できます。 バッグチャームやキーホルダー、ペット用アクセサリーなど、日常のさまざまな場面で持ち歩くことができ、音とともに革の変化を長く楽しめます。 また、外装を革で覆うことで、金属部分が肌に直接触れない構造にし、金属アレルギーの方にも安心して持ち歩いていただけるデザインを目指しました。金属が直接肌に触れない設計ですが、経年劣化によって革が破損した場合はその限りではありません。 革と音の、ちょっと珍しい組み合わせ。 日常のそばに、さりげなく響く小さな音と、手に馴染む革の感触を楽しんでいただければ幸いです。
ゲスト審査員賞 (ゲスト審査員が選出)
-
山縣氏 選出
「革髪ーKAWAGAMIー」
野田侑子様
作品の主旨
コンセプト「革製品・ウィッグの常識を覆す」 この作品「革髪」は、「髪=毛」という概念を超え、頭部を守り、飾り、個性を引き出す、革新的なヘッドピースです。 美しさと強さ、機能と感性の融合により、“革”に新しい価値を生み出します。 素材には柔らかく加工性に富んだ本革を用い、ウィッグのように頭部に被せて使うデザインです。毛先には従来の人工毛を活用します。表面には革特有の風合いを活かしたカービングや型押し模様を施し、装飾性と機能性を両立。
-
青木氏、萩原氏 選出
「bonsai」
尾林嬉愛莉様
作品の主旨
革で作られた松の盆栽。幹の中に針金を入れ、持ち主の方が自由に形を変えることができます。ブラウンの本革をパッチワークのように組み合わせ、太く目立つ手縫いのステッチが幹全体に入っている。葉はグリーンのレザーを使っ[松の葉の形に切り出されている。葉も持ち主の方がカット可能なものである。 レザーの長く一緒にいればいるほどその人の味が出てくるところが暮らしに寄りそった盆栽のイメージと重なり、デザインをしました。
プロダクト部門
作品は、応募者本人が制作したものです。
最優秀賞
「革BONSAI」
恒田祐介様
趣味の靴づくりを通じて、かかと部分が木ではなく革を積み上げたものであることを知りました。革を積み上げ、削って磨くことによる表現の幅広さとその美しさに感動しました。 同じく趣味の盆栽において、木を削りジンやシャリを作るという工程がありますが、靴づくりの工具でこの作業している時に「革で枯れない盆栽が作れないか」と考えるようになり、今回の作品を構想しました。実用性はありませんが、鑑賞性に長けた作品を作りたいです。
優秀賞
「布団たたきショルダーバッグ」
三浦颯真様
用の美をテーマとし、あまり見なくなってしまった「布団たたき」に美しさを見つけ、側面全面にそのデザインを活かす。 フロント面には伝統的なもじり編みのデザインとし、布団の布がたたかれたようなドレープ柄を再現、中袋にはアイボリーの布を使用しより布団を再現
このプロジェクトは、その美的感覚と素材の一貫性、そして今日では稀少な素材を職人の感性で再解釈する能力を高く評価し、準優勝に決定しました。革は時を経ても色褪せることはありません。このバッグは、素材、記憶、日常生活、そして伝統が織りなす完璧な対話を、現代的なデザインへと昇華させています。
We decided to award second prize to this project for its aesthetic and material consistency, and for its ability to reinterpret, with artisanal sensitivity, an object that is rarely seen today.
Leather endures over time.
This bag creates a perfect dialogue between material, memory, everyday life, and tradition, all translated into contemporary design.
入賞
-
「piccolo」
内田成彦様
作品の主旨
『小さなこと』を楽しめるカップホルダーがテーマです。 ふと立ち寄ったコーヒーショップ。いつものように紙のスリーブを手に取る・・・そのほんの一瞬の習慣にちょっとだけ特別な「自分らしさ」を添えることで日常に溢れている『小さなこと』に気付くことができるでしょう。『piccolo(ピッコロ)』とは、イタリア語で『小さい』という意味です。折りたたんで、コロッと小さなフォルムに変わるデザイン、ほんのひとときのコーヒータイム、使う人と共に変化していく革のエイジング。そんなひとつひとつの『小さなこと』を楽しんでほしいという想いを込めてデザインしました。
-
「椿のポシェット」
尾川哲朗様
作品の主旨
鎌倉彫の立体造形と木目込細工のワザを融合させた作品をデザインしました。 革の曲面で構成された立体的な椿柄とすることで日本の伝統を表現するポシェットに仕上げることができると思います。
-
「きき革パタパタボックス」
木村大介様
作品の主旨
特に革に興味がない人もつい手に取って触ってみたくなるものを作ってみよう、と思い構造と動きが面白いパタパタボックスを革で作りました。隣り合った箱の辺と辺が繋がり数珠つなぎになっていて“開いて、割って、閉じる”を繰り返して無限にパタパタ変形させることができる楽しい玩具です。継ぎ目を含めて全辺縫い合わせていて子供が遊んでも壊れない頑丈な造りになっています。 玩具で気を引いて手に取ってもらった後、革自体にも注意が向くようにボックス毎に違う革を使用して“きき革”をして楽しめるようにしました。 “きき革”に挑戦しやすくするために動物が違うもの、仕上げが異なるもの、加工したものなど違いが分かりやすい素材を使用しました。よく使用される牛革以外に、個性が強く珍しい革としてジビエボックス(鹿革、猪革)、海の生き物ボックス(鯛革、鮫革、亀革)、革と別素材(木材と螺鈿)を組み合わせた工芸ボックスを用意しました。
-
「水で座る」
木下実様
作品の主旨
一枚の革を切らず、縫わず、接着せず、留め具や補強材を一切使わずに、水分を与えることによる革の可塑性のみで椅子に。椅子として成立する強度を確保するために堅牢なベンズを使用し革のサイズや個性を見極めながら、手の感覚を頼りに一点ものに仕上げる。 『良い部分』だけではなく一枚革をそのまま使うことで、傷跡やトラ、血筋、厚みや色のムラ等、革本来の『不均一性』を愛し、長く使いたいと思われるような作品を目指す。
-
「PALETTE」
香田総志様
作品の主旨
カジュアルで分かりやすい可愛さと革の格好良さを詰めこんだバッグを目指してデザインしました。 革のバッグというと高級感がある一方で、シーンを選ばないと、悪い目立ち方をしてしまうものも少なくないという印象があり、より多くのシーンで革のバッグをもって、気軽にお出掛けしてほしいという思いでデザインしました。 バッグの構造も、革の中に入れる形ではなく、革を骨組みととらえ、そこにアイテムをはめ込むことで、見た目にも新しく、ピンポイントで必要なものを取り出せる形にし、そこからパレット PALETTE という名前にしました。
-
「NOKTURNÉ(ノクタルネ)」
鈴木祐太様
作品の主旨
吊るすことでかたちが整う、夜のように静かなバッグ。 コウモリが夜に羽をたたみ、枝からぶら下がって眠る姿。その静けさと構造の美しさを、日常に持ち歩けるかたちに置き換えた。
コンセプト
《NOKTURNÉ(ノクタルネ)》は、吊るすことで自然にかたちが生まれるレザーバッグ。
・Y字に分かれた持ち手は、枝につかまるコウモリの指のような形状をしており、そこから本体が下がることで、重力によってバッグ全体がすぼまり、落ち着いた三角形のようなシルエットが現れる。
・このバッグは、芯材を最小限にとどめ、革そのものの張りと重さで形が保たれるように設計されている。
折りや角度の違う革の面に光が当たることで、見る方向や時間帯によって陰影の表情が少しずつ移ろい、使うたびに新しい姿を見せる。
・使っていないときも、壁やフックに吊るしておけば、空間に自然となじむ静かな彫刻のような存在になる。
用途
・日常の移動や街歩きに:A4書類やポーチなどを収めるのに十分な容量と柔らかな構造
・感性を大切にする人のライフスタイルに:美術館、展示会、アトリエなど静けさのある空間で活きる佇まい
・飾っても成立するバッグ:使わないときは吊るしておくだけでインテリアにもなる -
「Tennis of Life」
堀内和博様
作品の主旨
テニスをもっと日常に... ナイロン製の大きなテニスバッグは、職場に持って行ったり、テニスの行き返りにカフェに寄ったりといった普段使いとしてはどうしても目立ってしまい使いにくい... そんなお悩みありませんか? そこで、もっとナチュラルに、もっと生活に寄り添う素敵なテニスバッグを制作してみました。 通勤や買い物などの普段使いに馴染むデザイン、素材は経年変化も楽しめるタンニン革を使いました。 ラケット用ポケットが2箇所、シューズ、着替え、水筒を入れてもまだまだ十分余裕のある収納量を確保したバッグなので、仕事道具やちょっとしたお買い物なども収納できます。 デザインのアクセントに、フランスパン型のグリップ保護ケース付き。もっと自然に生活に溶け込んだテニスライフを楽しめるはずです。
-
「Re:ather」
吉川貴仁様
作品の主旨
人類が築いてきた200万年の革加工技術を、水晶の成長スピードに置き換えて考えると、その長さは、およそ20メートルに相当します。 この『Re:ather』は、その技術の結晶をデジタルツールを通して再構築し、水晶のかたちを借りて、バッグという姿に結晶化させた作品です。 20メートルに相当する革の時間の塊から、99.9cmだけを削り出し、“革の未来が永遠に響きますように”という祈りを込めて、御守りのようなバッグを制作しました。 それは、持ち歩ける記憶装置であり、次の時代へと革をつなぐ、祈りのかたちです。
佳作
ゲスト審査員賞 (ゲスト審査員が選出)
-
山縣氏、青木氏 選出
「椿のポシェット」
尾川哲朗様
作品の主旨
鎌倉彫の立体造形と木目込細工のワザを融合させた作品をデザインしました。 革の曲面で構成された立体的な椿柄とすることで日本の伝統を表現するポシェットに仕上げることができると思います。
-
萩原氏 選出
「PALETTE」
香田総志様
作品の主旨
カジュアルで分かりやすい可愛さと革の格好良さを詰めこんだバッグを目指してデザインしました。 革のバッグというと高級感がある一方で、シーンを選ばないと、悪い目立ち方をしてしまうものも少なくないという印象があり、より多くのシーンで革のバッグをもって、気軽にお出掛けしてほしいという思いでデザインしました。 バッグの構造も、革の中に入れる形ではなく、革を骨組みととらえ、そこにアイテムをはめ込むことで、見た目にも新しく、ピンポイントで必要なものを取り出せる形にし、そこからパレット PALETTE という名前にしました。




このプロジェクトを受賞に至ったのは、その独創的で深い感性に基づくビジョンに鑑みて決定しました。アーティストは革を詩的な素材へと昇華させ、盆栽のように調和、バランス、そして時の流れを表現できる作品に仕上げました。その結果、職人技、文化、そして現代的な創造性が融合した、洗練された美的感覚と革新的なコンセプトを兼ね備えた作品が誕生しました。革は唯一無二の、自然で、そして生きている素材です。この作品は、革の特質、その多様性、そして革が生み出す卓越した職人技を完璧に際立たせています。
We chose to award this project for its original and deeply sensitive vision.
The artist has transformed leather into a poetic material, capable of expressing harmony, balance, and the passage of time, much like in the bonsai tradition.
The result is an aesthetically refined and conceptually innovative work, combining craftsmanship, culture, and contemporary creativity.
Leather is a unique, natural, and living material.
This creation perfectly highlights the qualities of leather, its versatility and the extraordinary level of craftsmanship it allows.